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3. 地方自治体における市民活動支援政策の現段階

 

(1) 市民活動支援についての自治体の検討作業
市民活動の意義やマネジメントについては、かなり早い段階から議論され、実践も行われてきた。しかし、市民活動について把握し、検討する作業が地方自治体において行われたのは近年のことである。
東京都は、1996年3月に『行政とNPO-東京のNPO』を発行し、NPOについての理論的検討を行いながらも、東京におけるNPOの実体を把握し、それに対する支援方策を議論している。とくに、東京におけるNPOの実像を明らかにするために、ヒアリング調査とあわせて、東京都内に拠点をおく1507の市民活動団体にアンケート調査を行っている点は参考になる。とくに行政とのつながりについては、公共施設利用、陳情・要望、財政支援などの順に多くなっており、その関係が任意団体であるのか公益法人であるのかによって大きく異なっている点が指摘されている。自治体への要望についても、補助金等の増額・対象枠の拡大といった資金面での援助を求めるものや、その手続きの簡素化を求める要望が強くなっている。その他では、活動場所の提供、人材育成などの具体的支援を求めるものが多く、優遇措置などの税制の改正を求めるものは、全体の0.2%と少数にとどまっているのが目に付いた。
行政とのパートナーシップが必要であるという意見について、多くの団体で認知されているように見受けられ、行政に対しては指導、管理、監督する立場でなく、役割分担を行う対等な関係にあるという認識がもたれている。こうした共通認識が市民活動サイドに存在することが明らかにされた点は、市民活動支援政策の立案において重要なポイントになるであろう。
 一方、川崎市は、『市民と行政の新しい関係の創造に向けて』と題して、報告書を発表し、市内で活動する市民団体のヒアリング調査を行っている。これは、主に市民活動の現状について、団体設立の経緯、団体の組織という視点から検討を加え、その上で行政との関わり、地域との関わりにも言及したものである。
この調査で明らかになったことは、わずかなサンプルの中であっても、市民活動は多様な組織形態や規模のばらつき、また行政が行う市民活動支援についても考え方の違いがあるということである。それゆえに、行政サイドからは一律に活動にたいする政策支援を行うことができず、難しい局面にあるのが実状である。しかし、市民活動の活性化がもたら

 

 

 

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